[9] メアリ脱出 〜キンロス〜

 

 

 

キンロスのダウンタウンの東にレーベン湖があり、その中島にロッホ・レーベン城(写真30)がある。6世紀にはすでにピクト人の砦があったようで、城は13世紀ころ築かれた。

この城に幽閉されたメアリは妊娠しており、子供を私生児にすることだけは避けようとボスウェルとの離婚を断固拒否していたが、1567年7月に流産してしまう。動揺したメアリは、反乱軍が要求するまま退位する書類に署名してしまい、息子ジェームズ六世が生後13ヶ月で即位した。そしてメアリの異母兄マレー伯(ジェームズ・スチュアート)は摂政に就任すると、議会を召集してメアリをダーンリ殺害犯として告発した。

テキスト ボックス: 写真30 レーベン湖上のロッホ・レーベン城跡。ロッホ・レーベン城の城主マーガレット・ダグラスはジェームズ五世の愛人だった人だが、メアリの母であるギーズのメアリが嫁いだため日陰者として扱われた。それゆえ監視役を任されたのだが、息子ジョージ・ダグラスとそのいとこウイリアム・ダグラスは二人とも哀れなメアリに恋してしまった。ダグラス家では日没前に全ての扉に鍵をかけ、それを夕食時に食卓の上に置くのが習わしだったが、ウィリアムは鍵束の上にナプキンを置いて、ナプキンを取るふりをして鍵束ごと奪い取ると、メアリを連れ出し、扉を開けては外から施錠を繰り返し、湖の対岸まで逃がすと、鍵を湖に投げ捨てた(1831年湖が干上がったとき、一束にまとめられた8つの鍵が発見されている)。対岸にはジョージが馬を用意して待っていた。乗馬の得意なメアリは馬にまたがり、キンロスから脱出した。

 

 

 

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