●恋はデジャ・ブ(Groundhog Day

 

 

1993年アメリカ
監督:ハロルド・ライミス
出演:ビル・マーレイ、アンディ・マクダウェル

 

過去を知ることは、未来を知ることである。
未来を知る者は、運命を支配できる。
未来を知れば、人は神にも悪魔にもなれる。

 高慢な主人公フィルは、永遠に繰り返す同じ日を過ごすことによって、退屈な田舎町のあらゆる情報を知る。初めは暴飲暴食、交通違反、窃盗、個人情報を調べてナンパと、考えられる限りの悪事を行うが、同僚のリタに軽蔑されてしまう。自殺を試みるが、何度やっても同じ日の朝に戻ってしまう。ホームレスの老人を助けるが、何度やっても2月2日に死なれる運命だけは変えられない。

 人はある意味、同じ日常を生きている。季節は巡り、また冬が来て、2月2日が来る。同じ町で、同じ仕事を繰り返す。やがてフィルは、退屈な田舎町の一日が、人々にとってかけがえのない日であることを知る。冬の寒空の下に、人の心の暖かさを知る。
 何が起こるか事前に知り得る己の特殊な能力を用いて人々を助け、人々に感謝される道を選んだとき、彼はまさに神となった。人を愛し慈しむ心を知ったとき、フィルはついにリタの愛を得たのである。

 彼が心から愛せる人を抱いて眠りについたとき、運命はついに時の歯車を進めた。彼が目覚めたとき、運命は愛する人を消し去らず、彼の腕の中に残していてくれたのである。
 不思議な永劫回帰現象は、フィルが本当の愛を知るために神さまが与えてくれた、聖燭節の奇跡だったのだろう。

 

 

 

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